白露も秋分も二十四節気のひとつであり、各節気とは季節の移り目を表す瞬間であったり、移り変わるその日であったり、あるいは次の季節までの移ろいの期間のことです。
白露は若干馴染みの薄い、耳慣れない言葉かも知れませんが、ふたつの漢字のそれぞれの意味は明白であり、状況としてはなんとなく把握できると思います。そして二十四節気には二至二分と言われる2つずつの「至」と「分」があるのですが、秋分は二十四節気の3番目の二至二分のひとつであり、2つの「分」のうちの後のひとつです。
ではその白露や秋分というのはいつなのでしょうか。2021年のそれらの期間は、具体的にいつからいつまでなのでしょうか。
白露は八月節、秋分は八月中とも呼ばれたりしますので、8月にあるような気もしますが、実際のところを細かく見ていきましょう。
白露・秋分とは?
一年の気候の変化を24等分した二十四節気の、15番目と16番目に区分されているのが啓蟄と春分です。二十四節気については別途詳細な記事を用意してありますので、どうかそちらをご参照下さい。
白露の読み方は「はくろ」、そして秋分の読み方は「しゅうぶん」です。それぞれそういった季節の名称なのですが、漢字の組み合わせを眺めていても、どういった気候なのか何となく分かりそうで分からないかも知れません。
2021年の白露と秋分
2021年の白露は9月7日火曜日から9月22日水曜日までの16日間、秋分は9月23日木曜日から10月7日木曜日までの15日間となります。期間としては白露の方が秋分よりも1日長いことになります。
しかし本当のところは、両者の期間の差は丸一日ということではありません。果たしてそれはどういうことなのでしょう。
二十四節気は太陽の動きを基に等分して割り出していて、白露が訪れるのは正確に言えば9月7日18時53分、同様に秋分は9月23日4時21分であり、それぞれ差し掛かったその日を白露または秋分と呼ぶ場合もありますし、天文学的にはそれぞれの瞬間を指します。
そしてさらにその次の寒露の位置に太陽が訪れるのは10月8日10時39分ですから、二十四節気が日を指すならば、10月8日は寒露であり、秋分は10月7日までということになります。
だから日数で追うと、白露の方が秋分よりも1日多いのは確かです。しかし時間で計算すればどうなるでしょう。
答は白露の369時間28分に対して、秋分は366時間18分となり、意外と同じくらいだということが分かります。その差は約3時間ですから、1日イコール24時間だと疑いもなく思っていると、実際は大して変わらないことにびっくりしたりするのではないでししょうか。
9月なのになぜ8月?
二十四節気は12の節(節気)と12の中(中気)に分かれます。奇数回目が節、偶数回目が中です。
15番目の節気である白露は節であり、16番目の節気である秋分は中です。そこで白露の別名を八月節と言い、秋分を八月中と言います。
ところが白露も秋分も、9月に始まる節気です。9月なのに八月と名乗るとは、一体どういうことでしょう。
わが国では明治5(1872)年まで、太陰太陽暦に基づく旧暦を使用していました。白露と秋分は旧暦8月に該当するため、この名が付いているのです。
白露・秋分という節気の意味
二十四節気は平安時代の頃より用いられるようになりましたが、元をただせば紀元前の古代中国で考案されたものです。ですから各節気の名称が意味するところは、日本で実際に体感する気候の表現に当てはめるには、多少のズレを感じる場合があるかも知れません。
しかし各節気は一日だけのことではなく、次の節気の前日までの期間でもありますから、それなりの長い目で見れば、あながち見当違いというわけでもなさそうです。
白露とは早朝の草花に白い露が宿っている様を表し、朝晩の気温が低くなって昼夜の気温差が大きくなる時期という意味です。高い空に秋雲がたなびくような、本格的な秋の到来となります。
二至二分のひとつである秋分は、他と比べてより天文学的意味合いが強い節気です。秋分点が来る日は昼夜の長さがほぼ同じになる日で、この日を境に日差しを浴びる時間は短くなっていき、いわゆる秋の夜長が訪れる頃合いとなります。
この記事のまとめ
- 白露は二十四節気の15番目、秋分は同じく16番目である。
- 各節気は瞬間点を指したりその瞬間点のある一日を指したり、あるいはいつからいつまでという期間を指したりする。
- 2021年の白露が始まる日は9月7日、秋分が始まる日は9月23日である。
- 白露は八月節、秋分は八月中とも呼ばれる。
- 白露は昼夜の気温差が大きくなって本格的な秋の到来となる頃を意味し、秋分は昼夜の長さが再び逆転する境となって秋の夜長に向かう頃を意味する。
白露も秋分も秋に属しますが、秋という期間を単純に秋とだけ認識していては少々淡白過ぎるのではないでしょうか。秋の中にも細かな気候の変化があるのです。
秋の節気は立秋から始まり、次に処暑が来て、それから本記事で紹介した白露と秋分になり、さらに寒露そして霜降と続いていきます。このことを理解すれば、哀愁漂う秋の移ろいが分かって、きっと感性豊かな秋を過ごせることでしょう。