私たちはこの日本に住んでいて、一年を通して気候の変化を肌で感じることができます。それは情景にも現れて、春夏秋冬の四季を楽しむことができます。
しかし春には春の中での気候の違いがあり、同様に夏や秋や冬にはそれぞれの中での気候の違いがあります。一年という長い期間を漠然と四季だけで区分してしまうと、細やかな気候の変化には対応できません。
そこで二十四節気の登場です。文字通り一年を24の節気に区分しますから、1つの節気はおおよそ15日という短いスパンとなります。
これくらいの期間ごとで区切られるのならば、同じ一年を過ごすにしても日々の暮らしがより変化に富んだものとなります。この際二十四節気のひとつひとつの名称を覚えてしまいましょう。
24もあって覚えるのが大変と思われるかも知れませんが、覚え方としては語呂合わせといった楽しげな手法もあるようです。いずれにせよ基本の8つを押さえてしまえば、小学生でも簡単なものです。
2021年の二十四節気の一覧を見て、それぞれの節気の意味を知り、それぞれの節気を楽しんで下さい。では詳しく説明していきます。
二十四節気とは?
地球は自転しています。同時に太陽の周りを公転しています。
つまり回りながら回っているわけですが、北極と南極を線で結んでそれを軸に地球を回転させた自転面(赤道面)と、太陽を中心として地球と線で結んで円を描いた公転面(黄道面)は平行ではありません。自転軸(地軸)は公転軸より23.4度傾いています。
地球が太陽をひと周りして元の位置に戻ってくるまでが一年ですが、その間には気候の変化が生じます。その理由はこのように、地軸が傾いているからです。
その間に地上から見た太陽の位置が高い時と低い時があり、その軌道を繰り返します。
太陽の位置が高ければ日照時間は長くなり、気温も高くなります。低ければその逆です。そのため一年を通じて気候の変化が生じます。
それはまさに地軸が太陽に対して傾いているから起こる現象であり、大小の違いはあれど地球上ではどこに居ようとも起こり得ます。その現象を顕著に実感できるのが温帯地域であり、その変化は大まかに4つに区分されます。
私たちの住む日本列島は北半球のまさしくこの温帯に属しており、毎年四季を楽しむことができるのです。四季とは文字通り、春夏秋冬4つの季節のことです。
しかし例えば春を例に挙げてみて、いつ春が始まりいつ春が終わるのかといったといったことは漠然としていて、定義付けはなかなか難しいものです。それを容易にさせるのが二十四節気というわけです。
二十四節気とは簡単に解釈すれば、一年を4つの季節ではなく24の季節で区分するということです。春夏秋冬それぞれに、6つずつの節気があって、全部で24です。
節気の始まりは立春で、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨までの春、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑までの夏、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降までの秋と続き、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、そして大寒の冬で終わります。学術的な難しい説明はここでは極力避けますが、二十四節気は太陽を基にして一年を24等分していますので、それぞれの節季は毎年必ず同じ時に訪れます。
ですから先程の例のように、いつからいつまでが春なのかという問いには、明確に答えることができます。ただし一年は基本的に365日であり、それを24で割っても端数が出ますので、毎年同じ日付になるというわけではありません。
それとこの二十四節気は、紀元前の中国で考案されたものを日本に取り入れたものですから、日本で実際に肌で感じる季節感とは合わない名称や時期もあります。あくまでも太陽の動きが基準となって各々の節気は決められています。
2021年の二十四節気
二十四節気は現代社会においては馴染みが薄くなりつつありますが、まだまだ私たちの実生活に密接に関わっています。2021年の二十四節気は次の通りです。
分類 | 名称 | 月日 | 時分 | 概要 |
---|---|---|---|---|
23冬5 | 小寒 | 1月5日(火) | 12時23分 | 寒さが厳しくなる頃。 |
24冬6 | 大寒 | 1月20日(水) | 5時40分 | 最も寒さの厳しい時期。 |
1春1 | 立春 | 2月3日(水) | 23時59分 | 春の始まり。 |
2春2 | 雨水 | 2月18日(木) | 19時44分 | 雪融け水の流れ出す頃。 |
3春3 | 啓蟄 | 3月5日(金) | 17時54分 | 土中の虫が地上に這い出てくる頃。 |
4春4 | 春分 | 3月20日(土) | 18時37分 | 昼夜の長さが同じになる頃。 |
5春5 | 清明 | 4月4日(日) | 22時35分 | 清々しく明瞭な空が広がる頃。 |
6春6 | 穀雨 | 4月20日(火) | 5時33分 | 穀物を成長させる春雨が降りる頃。 |
7夏1 | 立夏 | 5月5日(水) | 15時47分 | 夏の始まり。 |
8夏2 | 小満 | 5月21日(金) | 4時37分 | 日照りが続いて少しほっとできる頃。 |
9夏3 | 芒種 | 6月5日(土) | 19時52分 | 穀物の種を蒔き田植えを始める頃。 |
10夏4 | 夏至 | 6月21日(月) | 12時32分 | 太陽が最も高い位置にある頃。 |
11夏5 | 小暑 | 7月7日(水) | 6時5分 | 炎熱に向かう頃。 |
12夏6 | 大暑 | 7月22日(木) | 23時26分 | 炎熱の最中。 |
13秋1 | 立秋 | 8月7日(土) | 15時54分 | 秋の始まり。 |
14秋2 | 処暑 | 8月23日(月) | 6時35分 | 朝晩に涼しさを感じる頃。 |
15秋3 | 白露 | 9月7日(火) | 18時53分 | 明け方草花に露が付く頃。 |
16秋4 | 秋分 | 9月23日(木) | 4時21分 | 昼夜の長さが同じになる頃。 |
17秋5 | 寒露 | 10月8日(金) | 10時39分 | 草木に付く露が一層冷たくなる頃。 |
18秋6 | 霜降 | 10月23日(土) | 13時51分 | 霜が降り始める頃。 |
19冬1 | 立冬 | 11月7日(日) | 13時59分 | 冬の始まり。 |
20冬2 | 小雪 | 11月22日(月) | 11時34分 | 初雪が舞い出す頃。 |
21冬3 | 大雪 | 12月7日(火) | 6時57分 | 平地に雪が積もる頃。 |
22冬4 | 冬至 | 12月22日(水) | 0時59分 | 太陽が最も低い位置にある頃。 |
地上から見て一年で一番太陽が高い位置にあるのが夏至、一番低いどころにあるのが冬至、それぞれの中間点が春分と秋分です。それぞれの節季は、一般的にはその日一日だけのことを指す場合が多いようですが、その節気が始まった日から次の節気が始まる直前までの日の期間を指すこともありますし、天文学的には太陽がまさにその24等分された位置に来た瞬間を指します。
いずれにせよ二十四節気に基づけば、2021年の春は2月3日から始まると明確に言うことができますし、同様に夏は5月5日から、秋は8月7日から、冬は11月7日からということになります。もちろん先に述べましたように、体感的にはズレがありますので、あくまでも暦の上での話です。
よくニュースなどで、暦の上では今日から春だの、今日から夏だのといった決まり文句を聞いたりしたことがあると思いますが、それはすなわちそれに該当する節気が来たということを意味しているのです。
しかしズレがあるといっても、全くの検討はずれというわけでもありません。日本が近代化されるまでは、国家の経済はほとんど第一次産業に依存されていましたが、天候や生き物の様子を表す名前の付いた二十四節気は、自然現象に左右される農業従事者の有効な目安となりましたし、今でも来るべき季節を感知する拠り所とされていることも少なくありません。
二十四節気を全て覚える
私たちは春夏秋冬という4つの区切りを肌で感じ取ることができますが、その中でも微妙な変化があるものです。この際更に細分化された節気というものを、24一気に全て覚えてしまいましょう。
一年という期間は、漠然と過ごすにはやはり長く感じてしまうものですから、二十四節気を理解しておけば、それぞれの節気の過ごし方もより明確になってきます。一年をより短いスパンで区切って過ごしていけば、メリハリもつきますし、日々の生活にも潤いが生じるというものでしょう。
ちょっと数が多くて覚えるのが大変と思われるかもしれませんが、そんなに身構える必要はありません。まずは基本の「二至二分四立」を押さえてしまいましょう。
なお二十四節気はさらに「節(または節気)」と「中(または中気)」に二分され、奇数番目に訪れるのが節であり、偶数番目が中です。二至二分は中、四立は節になります。
二至とは太陽が最も高い位置にある夏至と冬至のことであり、二分とは太陽が最も低い位置から最も高い位置に行くまでの中間点とその逆の最も低い位置から最も高い位置に行くまでの中間点である春分と秋分のことです。この4つは今でも頻繁に使われていますから、逆に知らない人などいないくらいでしょう。
夏・冬・春・秋の文字が示す通り、二至四分はそれぞれの四季が真っ盛りの時です。円を描いて二至四分を配置すれば、その4つの中間点に位置するのが四立である立春、立夏、立秋、立冬であり、それぞれの季節の始まりを意味します。
これでもうあっという間に8つ覚えてしまいました。後の16は、先程描いた円上の二至二分四立の8点の間に2つずつ入れてしまえば、それで全てが揃います。
このように二至二分四立という骨組みがあって、それぞれの間に2つずつの支柱があるという構造さえ頭に入れば、後は何とでもなります。語呂合わせで小学生でも簡単に覚えられそうな手法も、調べれば幾つか見受けられます。
しかしそれらは、基本となる二至二分四立を除外していて、全ての節季を順番に覚えるわけではない場合がほとんどのようです。そこでここでは、意味も何もない単なる音としての羅列になりますが、全ての節季の頭文字を順番に並べてとにかく暗記してしまう覚え方を提案します。
それはずばり、「リウケシュセコ、リショボゲショタ、リショハシュカソ、リショタトショダ」です。春夏秋冬の4グループごとに一息ついて、念仏を唱えるように口ずさんでいれば、きっと頭に入ってきますよ。
この記事のまとめ
- 二十四節気は太陽の動きを基にして、一年を24等分したものである。
- 365日あるいは366日を24で割れば当然端数が出るから、各節気は毎年同じ日付になるわけではない。
- 2021年の各節気の意味や詳細は、一覧の通りである。
- 二十四節気を把握すれば、日々の暮らしにも潤いが生まれる。
- 全ての名称の覚え方として語呂合わせという手法もいくつか見受けられるが、いずれにせよ基本さえ押さえれば小学生でも簡単に覚えることができる。
せわしない現代社会においては、一年の区切りが約15日ずつですら間延びして感じてしまうかも知れません。でも安心して下さい。
そういう人たちのために、七十二候という季節の考え方があります。各節気をさらに3等分して、一年を全部で72に区分したもので、つまりわずか約5日過ぎれば季節が変わってしまいます。
約5日ごとに身も心もリセットできれば、ますます力がみなぎってくることでしょう。でも逆に、72全ての名称を覚えるのは、せわしないゆえに超大変でしょうね。