2020年3月3日火曜日、日本時間では4日未明にかけてになりますが、海の向こうアメリカ合衆国では大統領選挙に向けた野党・民主党の候補者選びとして、全米14州で予備選挙が行なわれます。いわゆるスーパーチューズデーを迎えることになります。
極端なまでの白人第一主義者である共和党のトランプ現大統領に歯止めをかけるのに相応しいのは左派なのか中道派なのか。サンダースやバイデンはじめ、各派候補者入り乱れての混戦状態となっていていますが、11月の本選挙でどの候補にトランプ大統領と戦ってほしいのか、民主党員の意向がここでおおよそ明確になるため、スーパーチューズデーは米大統領候補指名争いの天王山となるのです。
スーパーチューズデーとは?
アメリカ合衆国では、大統領選挙の前に各州ごとに予備選挙や党員集会を行いますが、その年の3月初旬の火曜日には同じ日に多くの州がそれを実施するため、各候補者はこの日を上手く乗り切ることで、大統領選挙出馬への指名を確保し易くなります。それ故この日をスーパーチューズデーと呼びます。
多くの州が同時に予備選を行うと言っても、毎回同じ州が行うわけではありません。それでも今回は、全米中14州が同日に実施し、とりわけその中に、前回は最終盤の6月に予備選を行っていたカリフォルニア州が、日程を前倒しして加わってきたため、いつにも増してスーパーチューズデーの重要性が高まっているのです。
カリフォルニア州は全米で最大の4000万人の人口を有していて、しかも政治的には移民問題や環境問題等で、反トランプ色をあからさまに掲げています。人口の多いカリフォルニア州で勝つことは、候補者にとっては最も価値ある勝利となるのです。
スーパーチューズデーに予備選が行われる14州はこのカリフォルニア州の他に、テキサス、アラバマ、アーカンソー、コロラド、メーン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、ユタ、バーモント、バージニアの各州です。また、米領サモアと海外在住民主党員の投票も同日に行われるとのことです。
最有力候補者は?
スーパーチューズデーでは、本選挙に直接関わりを持つ全代議員3979人のうち3分の1強の1357人が選ばれます。各州とも、得票率が州全体、もしくは下院選挙区の15%に満たない候補は代議員を1人も獲得できません。
現在のところ、左派のサンダース上院議員が序盤戦で最有力候補に躍り出たものの、2月29日のサウスカロライナ州の予備選挙で圧勝した中道派のバイデン前副大統領が猛追する展開となっています。そうした中で、序盤戦で健闘した中道派のブティジェッジ前サウスベンド市長が3月1日、一転撤退を表明しました。
スーパーチューズデーでは中道派の中の誰が支持を伸ばし、抜け出すのかがひとつの焦点となっていましたが、注目の中道派の大富豪、実はかなりの右派のブルームバーグ前ニューヨーク市長が、ついにスーパーチューズデーから満を持しての参戦となります。ブルームバーグ氏は、初期の州投票に不参加だった一方で、スーパーチューズデーに向けた広告に5億ドル以上を投じているといわれ、中道候補の中での首位の座をバイデン氏から奪い取る気満々でいます。
まとめ
- 2020年3月3日、海の向こうのアメリカ合衆国はスーパーチューズデーである。
- スーパーチューズデーには、民主党大統領候補者選びとして全米14州で同日一斉に予備選が実施される。
- サンダース氏が一歩リードでバイデン氏が追う展開、しかし大富豪のブルームバーグ氏が人気急上昇で侮れない存在となっている。
ところで、例の新型コロナウイルスの感染問題がアメリカ国内でも深刻化していて、今回最大の注目地区であるカリフォルニア州の一部では、予備選における感染防止についても、でき得る限りの万全策を施しているそうです。このように慎重にならざるを得ない新型コロナウイルス問題ですが、米国においても株式市場の大幅な下落を招いており、トランプ大統領が対応に追われているのはもちろんのこと、民主党の各候補者の間でも危機管理の在り方についての発言が増えていて、大統領選挙戦にも大きな影響を及ぼすものと思われます。
新型コロナウイルスを制するものは民主党をも制し、アメリカ合衆国をも制す。そして世界をも制すといったところでしょうか。