十三参り2020は名古屋で写真を!服装は京都でなくても親子着物姿が定番?

十三参りという、主に京都や大阪をはじめとする関西で浸透している古くからの行事があります。それが近年になって、徐々に全国に普及し出しています。

関西に対する関東、そして三大都市のひとつ名古屋市を有する愛知県のある東海地方などがその例です。名古屋には古都の情緒溢れる寺院が十三参りを年中行事に取り入れていて、フォトスタジオが出張って写真を撮ってくれます。

十三参りは子供のための行事ですが、服装は本来着物であるべきで、付き添う親は子供より格式の下がるものでなければなりません。業者による写真撮影を検討すれば、着物のレンタルも利用できる場合もあります。

しかし十三参りは、単にアルバムに飾るための子供の芝居めいた成長写真を撮って喜んで終わりというものではありません。十三参りとは何なのか、その本質に迫っていきたいと思います。

十三参りとは

十三参りとは七五三のようなものです。でも七五三はただの漢数字の羅列にもかかわらずご存知の方は多いと思いますが、十三参りは単なる数字だけでなく後ろに参り・・と付けてより丁寧に説明しているのに、あまり知られていないですよね。

先ず一言でいえば、十三参りは七五三の延長で、七五三が三歳、五歳、七歳の子供の成長を祝う行事に対して、十三参りは十三歳になったことを祝う行事です。七五三はなぜ三五七とは言わないのか、それはおそらくそれでは語呂が悪いからでしょうが、十三参りは十三だけですから、ある意味ストレートで分かりやすいといえば分かりやすいです。

しかし似た者同士ではあるものの、両者の間にはちょっとした違いがあります。七五三は神社にお詣りに行きますが、十三参りは寺院にお参りに行きます。

その理由は、十三参りは虚空蔵菩薩こくうぞうぼさつという仏と関係があるからなのです。虚空蔵菩薩は人間の体に変化が生じる時の厄を取り除く仏とされ、子供から脱皮して大人になり始める年頃に、厄払いのために虚空蔵菩薩にお参りに行くとよいとされているからです。

かつて公家や武家においては、元服するのがおおよそ数え13歳であったため、十三参りの名が付いたとされていて、丁度全ての干支がひと回りして厄年を向かえる頃でもあるのです。一方でその名は、虚空蔵菩薩が13番目に誕生した菩薩であることに由来するともされています。

それから虚空蔵菩薩は、智恵や知識や記憶に対して利益をもたらす仏として知られています。かの弘法大師空海は、その昔室戸岬の洞窟に籠り、百箇日もの間に虚空蔵菩薩の真言しんごん(仏尊ごとにある仏の真実の言葉)を百万回唱える虚空蔵求聞持法こくうぞうぐもんじほうという荒修行を行いました。

その結果空海はあらゆる経典を覚えてしまう程の記憶力の持ち主となることができ、しかもその中味をちゃんと理解して忘れることはなかったそうです。厳しい修行を経ての話ですから、一般の者はなかなかその域にまでは達せられませんでしょうが、大人になるための準備として、少しでも智恵を授かっておこうという意味が十三参りにはあります。

そんな十三参りの日は、旧暦の3月13日でした。新暦に当てはめれば、2020年の場合は4月5日になりますが、新暦を使うようになってからは4月13日が十三参りの日にされています。

そして近年では更に何かと柔軟に考えられているみたいです。年齢は数えにこだわらず実年齢で対応し、参拝日も一日だけに限定したものではありません。

即ち、小学校から中学校に進学する機会に、その間の春休みを利用して参拝に行く場合が多いようです。また寺院側がそこの都合で十三参りの日を独自に決めているところもあります。

関西では以前から知られた行事

十三参りは関西地方では古くから名の知れた行事であり、七五三よりも盛んな地域もあるくらいでした。京都では法輪寺、大阪では太平寺、そして奈良では弘仁寺が十三参りとして訪れる寺院として知られていますが、中でも京都の法輪寺は特に有名です。

嵯峨の嵐山にある法輪寺は、清少納言の「枕草子」において京都の代表的な寺院として取り上げられている程の古刹であり、目と鼻の先の桂川に掛かる、それ自体が観光名所となっている渡月橋は、かつて法輪寺によって造られたものでありそれが長い間使われていたとのことです。

そんな歴史ある法輪寺への十三参りは、嵐山の桜の時期と重なって、大変な人で賑わいます。法輪寺に駐車場はありますが、駐車可能台数20台程度のものですので、車での法輪寺への十三参りを考えている方は、予め近隣の駐車場状況について念入りに調べておくのが宜しいでしょう。

その時の服装は、本来男の子は羽織袴、女の子は振り袖の和服姿が正装とされています。それは、十三参りの時の晴れ着は大人サイズに仕立てた本断ちの着物であり、以降折りあるごとにこの時期に揃えた着物を着させて着物姿に馴染ませ、大人の立ち居振舞いを身に付けさせるためだったからです。

またこの時付き添う親の服装ですが、あくまでも主役は子供ですから、父親も母親も子供の着物より格下のものでなければなりません。また当然洋服を着せる場合も多いでしょうが、その際親は控えめのスーツやワンピースを着るようにして、間違っても親だけが着物姿などというチグハグなことなどあってはなりませんのでご注意下さい。

愛知県にも火が着いた?

関西地方以外では福島県の円蔵寺、宮城県の宝性院、茨城県の虚空蔵堂などに代表される南東北地方でも、古くから十三参りは行われています。そこから近頃は関東地方にも広がりだして、有名な東京の浅草寺でも十三参りの参拝が軒並み増えているとのことです。

もっとも近年は少子化ということで、親は子を溺愛し、我が子が少しでも見映えするならば着飾ってどこにでも連れていこうとする風潮ですし、ネットが発達しているので情報はすぐに拡散してしまいます。また寺院側だって、人口減少社会を生き延びていくために、あの手この手を使ってても人を集める術を講じなければなりません。

そうした社会情勢もあってのことか、元来地域限定行事であったはずの十三参りも、徐々にその勢力を拡大してきています。そしてとうとう、愛知県においても十三参りが認識されるようになってきました。

名古屋市昭和区に位置する興正寺は、この地方では最古の木造建築の五重塔を有し、尾張徳川家の厚い加護の下その祈祷寺となった非常に由緒正しい寺院です。そこに幾つかある本尊のひとつが虚空蔵菩薩であり、ここ最近十三参りを行事に取り入れて浸透させつつあります。

興正寺の令和2年の十三参り行事は4月25日と5月17日の2日間が予定されていて、対象者も平成20年生まれ、或いは満年齢13歳の男女と決められています。ここでは法話や祈祷がセットになっていて、立派な式典形式のようになっています。

所要時間は2時間半から3時間、祈祷料は5000円です。興正寺納経所にて予約受け付けしています。

なお興正寺では近隣のデジタルフォトスタジオ「アクエリアス」とタイアップしていて、十三参りの晴れ姿を興正寺まで出張して撮影してくれます。撮影用であれば着物も無料でレンタルしてくれるそうですよ。

料金は六つ切2~6面台紙セットで、男の子20000~40000円、女の子23000~43000円です。その中にヘアメイク代と着付け代が、男の子は5000円、女の子は8000円分含まれています。

スマホで撮影も便利で悪くはないですが、たまには可愛い我が子のために大枚を奮発してみて、プロの手による本格的な記念写真を撮ってあげるのも良いかも知れませんね。五重塔をはじめ興正寺の歴史ある建造物を背景にすれば、きっと京都も顔負けの風情漂う写真に仕上がりますよ!

この記事のまとめ

  • 十三参りとは本来数え年で13歳になった男女が旧暦3月13日に虚空蔵菩薩に参拝して厄を払い、智恵を授かる行事であるが、現在においては年齢も日にちもそれ程厳格ではない。
  • 十三参りは関西地方で盛んであり、とりわけ京都嵐山の法輪寺が有名である。
  • 十三参りの時の服装には着物姿が相応しいが、あくまでも主役は子供であるため親の服装は華美であってはならない。
  • 近年十三参りの知名度が上がり、愛知県の寺院でも年中行事として取り入れている。
  • 名古屋市の興正寺ではフォトスタジオが出張撮影してくれるので、我が子のためにプロの手による最高級の記念写真を残してあげることができる。

最近では寺院だけでなく神社でも写真館と結託して十三詣りを推奨しているところが多いようで、少なからず違和感を覚えます。そもそも神社に虚空蔵菩薩はいません。

人生の節目において神社を参詣し、神様に自らの成長を報告することは立派な行為であり、大変結構なことだと思います。ただ、単に記念写真を撮るのに都合のいいイベント程度に考えていてはいけないということです。

この際神社でも寺院でも構いませんが、とにかく神仏に手を合わせるのが一番重要であり、写真は二の次ということをお忘れなく。あまり子供を甘やかすと、かえってろくな大人にはなれませんよ、きっと。