なぜ4月4日があんぱんの日?由来や理由を知って2020イベントを楽しもう!

4月4日とだけ耳にしても、その日があんぱんと結び付く人はいないと思います。でも4月4日はあんぱんの日なのです。

食べれば甘いあんぱんですが、あんぱんを甘く見てはいけません。あんぱんは庶民の空腹を満たす食べ物であると同時に、上品な和菓子のような食べ物でもあるのです。

なぜ4月4日があんぱんの日なのか、その理由はある人物がこの日にあんぱんを食したことにあります。ある人物とは明治天皇であり、それを献上したのが木村家總本店創業者の木村安兵衛なのですが、その由来の詳しい背景を探ってみましょう。

あんぱんの日というからにはこの日に大々的なイベントでもあろうかと思いがちですが、あんぱんの日と縁のある木村家が直接何かを仕掛けてくることはありません。首都圏で木村家の製パンを仕入れているコンビニのセブンイレブンでは、限定的ながらも何らかのイベントを行ったりするようです。

しかし昨今のベイカリーブームによって、今後はあんぱんフェアみたいなものが増えていくのではないでしょうか。その辺の事情を説明したいと思います。

2020年4月4日のあんぱんの日。この日はスーパーやコンビニ、小洒落こじゃれたパン屋などを十分意識しながら街中をうろついてみて下さい。

あんぱんの歴史とあんぱんの日の由来

パンは言わずと知れた西洋渡来の食べ物ですが、日本には早くも安土桃山時代にポルトガル人宣教師によって伝えられています。しかしその後の鎖国政策の影響などもあってか、長い間パン食が日本人に普及することはなく、パンが日本で受け入れられるようになったのは、近代文明を積極的に取り入れた明治時代以降になってからのことのようです。

日本でパンの製造を本格的に始めたのは、東京銀座の木村屋總本店だそうです。創業者の木村安兵衛は現在の茨城県にあたる地域の農家の入婿でしたが、度重なる水害によって農業に見切りをつけ、つてを頼って明治新政府の職業訓練校の事務員になった後、洋食に目をつけて起業します。

初めは文英堂という屋号で明治2(1869)年新橋辺りで開業したのですが、すぐに火事で店を全焼させてしまい、翌年には屋号を木村屋と改め、場所を銀座に移して再出発しました。そのような苦労を重ねながらも、木村屋の食材が軍隊食に適していると評価されたり、病気の治療食にいいと風評されたりして、商売を繁盛させていきます。

しかし明治6(1873)年、大火が再び木村屋を襲い、店を焼失してしまいます。この時続いた、予期せぬ半休業状態が、逆に木村屋に大きなチャンスを与える結果になります。

その期間を利用して、細々と従来の商品を販売する一方、より多くの日本人に広く受け入れられる新しい商品の研究開発に本腰を入れました。そして日本人の好きな和菓子の中には餡が入っているということに着目し、試行錯誤の末、小倉餡をパン生地で包んで酒種酵母で発酵させた、味わい豊かなあんぱんを完成させたのです。

明治7(1874)年に正式に発売されるようになると、評判が評判を呼び、当時の価値で1個の値段がかけそば1杯と同等と、わりと高額であったにも関わらず、飛ぶように売れていきました。それが旧幕臣で、その頃西郷隆盛に乞われて宮中に出仕し、若き明治天皇の教育係として仕えていた山岡鉄舟やまおかてっしゅうの目に留まったのです。

そして自ら食してみたところ、評判通りの美味しさであったため、是非これを明治天皇にも味わって頂きたいと思い、明治天皇が隅田川花見のために旧水戸藩下屋敷に行幸される機をもって、あんぱんを明治天皇に献上することを勧めたのです。販売開始の翌年、明治8(1875)年4月4日の出来事です。

しかもそれで終わりではありませんでした。その味を大変お気に召された明治天皇は、以後も引き続き皇居の方に届けるようご下命されたのです。

以降木村屋のあんぱんは皇室御用達という名誉に浴することとなり、数あるあんぱんの中でも一目置かれる存在であり続けているのです。

以上の経緯を踏まえて、平成13(2001)年に日本記念日協会が、木村家總本店の申請を受けて4月4日をあんぱんの日に登録したのがあんぱんの日の由来です。記念日の歴史としてはまだまだ新しい上に、その制定の理由として木村屋の思惑が見え隠れしないわけでもありませんが、この際雑学のひとつとして覚えておくのも損はないでしょう。

木村家總本店のあんぱんは天皇家御用達

木村家は製パン会社で、決してあんぱんのみを製造販売しているわけではなく、各小売業者などに各種各様の自社製品を卸していますが、銀座の直営店や百貨店などではあんぱんを中心とした商品を直売しています。それがまさに、木村家のあんぱんが木村家ブランドのあんぱんとして特別視されている所以ゆえんでもあります。

しかし自らの発案で4月4日をあんぱんの日という記念日にしたにも関わらず、この日木村家の直売店でのあんぱんに関する記念行事というものは一切ないそうです。そうなると、一体何のためのあんぱんの日なのか、これでは単に木村家自慢の日というだけではないかと考えてしまわなくもないのですが、真相は今のところよく分かりません。

一方、木村家のパンを仕入れて販売している首都圏のコンビニのセブンイレブンなとでは、4月4日にはあんぱんにまつわるちょっとしたイベントが開催されるそうです。セブンイレブンはよく仕入業者とコラボして食のフェアをやっていますから、その一貫かも知れません。

しかしそうは言ってもこのあんぱん祭りはかなり限定的な話なのではないでしょうか。そもそも木村家というのは皇室御用達ということもあってそれなりのステイタスはあるのでしょうが、製パン業界での売上順位としてはそれ程前の方にいるわけではありません。

この業界のダントツの売上高No.1は山崎製パンの7449億円(2017年単体決算)であり、山崎製パンは世界規模で見てもメキシコのグルポ・ビムボに次いで第2位です。その後には大きく離されて敷島製パンの1557億円(2019年決算)、フジパンの1321億円(2018年決算)と続きます。

もちろん大手はパン以外にも色々な製品を手掛けていますから、純粋にパンのみのシェアを考えるとこの順番の限りではないかも知れませんが、いずれにせよ上位3社以外は中小規模の会社がひしめき合って凌ぎを削っている業界です。木村家總本店の売上高は同社の最新ホームページによれば100億円、単純比較しても業界3位のフジパンの13分の1以下ということになります。

だから村家は首都圏では名の知れた会社なのかも知れませんが、地方では全く知らない人だっていると思います。むしろ木村家と聞いて、あんぱんとは関係のない村屋と混同してしまう人も大勢いるのではないでしょうか。

パンのイベント

そうした世間の混乱を避けるために、4月4日をあんぱんの日に登録して、あんぱん=木村家という明確な印象付けを木村家はしたかったのかも知れません。にも関わらず木村家が独自のイベントを行わないのは、皇室御用達の看板が逆に重すぎて、安易に安売りできないからではないでしょうか。

業界内で売上高の大きいビッグ3が積極的にあんぱんの日を意識し出せば、もっと賑やかな感じのあんぱんの日となることでしょうが、この3社に限らず他のどこの製パン業者だって、よその会社が自分のために発案した記念日など、かえって知らん顔してやり過ごしたいくらいでしょうね。それどころか、もう少し過ぎた4月12日には、パンの記念日というのがありますので、むしろこちらの方に重きを置くのではないでしょうか。

パンの記念日は、特定の商品や企業のための日ではなくパン全般を記念する日であり、パン食普及協議会があんぱんの日よりもずっと以前の昭和57(1982)年に制定したものです。しかも4月12日のパンの記念日一日だけではなく、毎月12日をパンの日と定めて、パン食の普及に公平に働きかけるものです。

とはいえ近頃はパン食ブームの再来なのか、個人経営規模のベイカリーがそこらじゅうに乱立しています。こうしたパン屋が生き残っていくためには、あんぱんの日だろうがパンの日だろうが、利用できるものは片っ端から利用したいと思うのが心情というものではないでしょうか。

2020年4月4日のあんぱんの日。きっと貴方の身近なパン屋でも、何かイベントらしきことをやっているはずですよ。

まとめ

  • なぜ4月4日がなぜあんぱんの日か、その理由は木村家總本店という一企業の思惑によるところが大きい。
  • とは言えあんぱんの日は、木村家が明治天皇の花見の席にあんぱんを献上した日に由来している。
  • 明治天皇はそのあんぱんを大層気に入られ、以後木村家のあんぱんは皇室御用達となった。
  • 木村家には直売店が幾つかあるが、木村家自身が4月4日に表だったイベントを行うことはない。
  • 個人経営のベイカリーが大流行りな昨今、2020年には近くのパン屋でもあんぱんの日に乗じたあんぱんフェアが行われるかも知れない。

あんぱん絡みでもうひとつ付け加えておけば、アンパンマンというアニメキャラが存在することは皆さんよくご存じかと思います。このアンパンマンに対しても、アンパンマンの日という記念日が設けられています。

それは10月3日で、昭和63(1988)年のこの日に初めてこのキャラの登場する「それいけ!アンパンマン」というテレビアニメが放映されたことに因みます。平成28(2016)年誕生の、まだ新しい記念日ですが、あんぱんの日と同様、日本記念日協会が登録しています。

申請者が誰なのかはよく分かりませんが、こちらの方は皆さん仲良く協力し合って、この日を盛り上げているみたいですよ。記念日とはこうありたいものですね!